『屋久島・旅日記』part1_エコツアー

2004年4月、春です。
7年間勤めたデザイン事務所を退職して、鹿児島県の南方の海に浮かぶ島、「屋久島」に6泊7日で、旅に行って参りました。

GW前で人もそれ程いなくて、新緑が美しい気持の良いこの季節に行って正解!
というのも、まぁ、事の発端は、田口ランディさんのエッセイや小説を読んで「これは、行かねば!」ということで、ランディさんの毎年行っているこの時期に是非行ってみたいと思ったのであります。
屋久島は遠いので、やっぱり移動には片道1日はかかってしまいます。
島で遊べるのは5日間。
最初の3日間は、エコツアーに参加して、自分一人では行けない場所を案内してもらうことにしました。

■1日目【リバーカヤック】
屋久島は、水がとっても美しくて豊かな島です。
泳げない私が水を楽しむことができるリバーカヤックを体験してみました。
最初、カヤックの乗り方を教わった時には、「チン」(カヤックが反対にひっくり返る事)したらこわいよぉ〜…と、ビビってたんだけど、何とか乗れて、何とか進みたい方向に行けるようになると、のんびり水に浮かんで漂うのは、なんとも気持のよいものでした〜(=▽=)
安房川を上流へ向かって、ゆるゆると進むのです。
周りは、新緑の山々。色んな緑色の木々に囲まれています。
途中、ガイドさんが、植物の事や、沢にいるカニ、カヤックの下を横切るボラの群れを発見して教えてくれます。
晴れたと思ったら、雨が降ってきて、雨が止んだら、霧が出て水面が霞みました。
ゆっくり進む時間。あるがままの自然。
「屋久島時間」に触れて、自分の中の速度が「すとん」と落ちたように感じました。

■2日目【白谷雲水峡フォレストウォーク】
今回、屋久島に来て絶対行きたかったのが、この「苔の森」です。
ちまたでは、「もののけ姫の森」といわれてちょいと知られるようになりました。
ホントに気持の良い森だったなぁ〜。
しっとりと森全体が水分を含んでいて、生き物に優しい感じで、息をするのが嬉しくなっちゃうような感じなんです。
特に、沢の周りは、木にも岩にも、フカフカの苔で覆われていて、そこに「着生」して新しい芽が生えていたりして、一面に緑色。ガイドさんが「抹茶パウダー」と言っていたけど、ホントに一面、抹茶パウダー色なんです。美しくて、謙虚で、訳もなく嬉しくなってしまいます。
苔は、傷付いた森を、修復するんだって。
そして、屋久杉。大きな屋久杉で、中が空洞になっているのもあるんだけど、木というのは、表面の樹皮で地表から栄養をとるから、中が空洞でも、ちゃんと生きているんですって。
だから、歩く時も、根っこを踏まないように…。踏むと、木が痛いから。
山を登り慣れない私は、それでも時々踏んじゃって、「あ〜っごめんね(;o;)」と謝ったりして。
ガイドさんの説明を聞きながら歩いていると、森も生命体なんだな。
一生懸命に生きているんだな。って、今までにない気持になりました。
屋久杉は、先年単位で生きていて、人間とは時間軸が違うけど、一生懸命生きているってことは同じなんだなって。
まっすぐに、お日さまに向かって伸びて行く杉の木を凛々しく感じました。

■3日目【太忠岳 登山】
ちょいと頑張る登山です。朝、7時前に出発。
車で標高1000メートルの登山口まで行って、そこから、『ヤクスギランド』という森を通過して、『太忠岳』(標高1497メートル)まで登ります。
標高が変わることで、森の様子も変わっていくのが見れるのです。
照葉樹林の森から、だんだんモミ・ツガ・スギが増えてきて。
屋久杉の次世代(樹齢200〜300年)の「小杉」が立ち並ぶ、美しい森があったり。
そして、それを超えると、キツイ上り坂に入り、一生懸命になっていると、でっかい花崗岩でできた大岩に辿り着きます。
この岩にも登っちゃうんです!
目前に見えるは、頂上にそそりたつ高さ40メートルの大岩「天柱石」!
プチ高所恐怖症気味な(でも好き…)私は、丸い大岩に乗って、標高約1500メートルから眺める絶景は、アドレナリン、どくどくって感じでした〜!
少しもやっていたけど、遥かに見える、愛子岳、トウフ岩、太鼓岩も双眼鏡で見えました。
感動〜。
天柱石の下にある、祠にもご挨拶して。
山登りって、楽しい。
何で自然って、人を元気にしてしまうんだろう。
帰り道では、「ミソサザイ」という鳥の巣を発見しました。
苔の森の鳥は、巣も何と苔で作ってしまうのです〜。何て可愛いの〜っ(>▽<)
やっぱり、エコツアーに参加して正解でした〜☆
ガイドの皆さん、ツアーにご一緒してくれた皆さんありがとうございました〜!
とっても楽しかったです〜(^0^)
知識のない自分一人では、気付かない事を沢山教えてもらいながら、川や森を歩くのは頭も体も動いてる感じ!
自然の不思議、賢さ、過酷さ、大雑把で寛容な逞しさ、そういったものに感動しながら歩いていると、あっというまに一日が終わってしまうんです。
歩き慣れていない私の体は、もちろん…、キマシタ筋肉痛…。
けど、一歩一歩、歩くのも嬉しくて、いつまでも歩いていたい気持になってしまって、今でもあの森の空気に包まれたい気持になってしまうのでした。